みなさん、こんにちは!
今回は、エスプレッソマシンの種類に関する記事に引き続き、さらにボイラー方式の違いについて書いていきます。
マシンのスペックを見ているとシングルボイラー、デュアルボイラー、ヒートエクスチェンジなどと説明に書いてあります。これらの意味とそれぞれのメリット・デメリットを説明します。
ボイラーって何?
ボイラーとはお湯を温める機構の事で、エスプレッソマシンではエスプレッソの抽出を行うお湯を温めたり、ミルク用のスチームを作るために使われます。またマシンによってはそのままお湯を出す口を備えたものもあります。これはエスプレッソにお湯を足して作るアメリカーノなどに使われます。
抽出に使うお湯は90℃前後、スチームを作り出すには当然100℃のお湯が必要になります。この二つの温度のお湯をどうやって準備するのか、これがボイラー方式の違いです。
ボイラーの方式については基本的にはsemi-/fully-automaticマシンに関わる話になります。何それ?と言う方はこちらの記事をどうぞ。
お湯を作る機能のないmanualマシンには関係の無い話です。また、super-automaticマシンは当然ボイラーを内蔵していますが、このタイプはマシンが全て自動でコーヒーを淹れてくれるので気にする必要はあまりありません。
シングルボイラー
シングルボイラーとは、そのままですがボイラーを一つ使う一番シンプルな方式です。
一つのボイラーの温度を必要に応じて上げ下げすることで、抽出用の低温のお湯と、スチームを供給します。
この方式の難点は、
- エスプレッソ抽出とミルクスチームを同時に行えない事
- 抽出とスチームの間に待ち時間ができる事
になります。
ボイラー構造から明らかですが、ボイラーが低温になっている時はスチームは出せず、スチームが出せる時はお湯が沸騰しているためエスプレッソ抽出はできません。
また温度を上げ下げする必要があるため変化する間待つ必要が出てきます。
この二つの難点から、短時間で複数のドリンクを準備するような必要のあるカフェの様な効率を求められる場所では使いづらいマシンになります。
逆に言うと、家庭のように多くても数杯しか淹れず、まぁ少し待つぐらい問題のない環境におすすめのボイラー方式です。というのもシンプルな構造のためシングルボイラーマシンは一番コストが低くなるためです。
ちなみにシングルボイラーで複数杯ラテを淹れたいような場合は、一杯ずつエスプレッソを抽出してミルクをスチームするのではなく、連続して必要な分のエスプレッソを抽出してしまい、その後ミルクをスチームする方が作業スピードは上がります。
もう一歩言うと大体のマシンの場合、温度を上げるより下がる方が早いため、効率のみを求めるなら先にミルクスチームをしてから、エスプレッソの準備をした方がいいかもしれません。ただその場合はスチームしたミルクがしぼんでしまわない様に注意しましょう。
デュアルボイラー
この方式も名前通りの構造で、ボイラーが二つの内臓されたマシンの事になります。
もちろん一方のボイラーは抽出用の低温、もう一方はスチーム用に沸騰状態で使います。このためエスプレッソを抽出しながら、ミルクをスチームする事が可能です。
構造上のデメリットは特にありませんが、ボイラーを二つ持つという事は当然コストが上がる事になります。
一概には言えませんが、参考として家庭用エスプレッソマシンの大定番のRancilio Silviaシリーズでコスト差を見てみましょう。
シングルボイラーのSilviaは約780USD、デュアルボイラーのSilvia Proは1700USD(アメリカでの価格)と言う事で、倍以上の価格差になります。Proの方はデュアルボイラー以外にもPID温度制御など他にも機能を追加しているため全てがボイラー方式の差ではありませんが一番大きな差ではあると思います。
デュアルボイラーマシンのコストに見合ったメリットがあるかはユーザー次第です。もし連続して何倍ものミルクドリンクを淹れる予定があるならコスト分の価値があるかもしれません。
ヒートエクスチェンジ
ヒートエクスチェンジ(熱交換)方式はデュアルボイラー方式に近い機能を持っています。
ヒートエクスチェンジ方式のマシンではデュアルと同じようにエスプレッソの抽出を行いながら、スチームを使う事ができます。
構造としては、一つのボイラーを持ち、そのボイラーを通過する形で抽出用のお湯を供給するパイプがあります。
ボイラーは常に沸騰状態でスチームを供給します。この高温のボイラーの中を通るパイプに冷たい水を通します。そうするとボイラーから熱をもらい一気にパイプ内の冷たい水を抽出に適した温度まで加熱し、供給する事ができます。
シングルボイラーに不可能な抽出とスチームの同時使用を可能にしつつ、デュアルボイラーよりはシンプルな構造で価格的には基本的には中間に位置します。もちろん特定の機種にやって順番は変わりますし、中間と言っても感覚的にはデュアルボイラー寄りの価格が多いです。
構造上、一定時間放置した後に抽出を行うと、ボイラーに密着して沸騰近くになったお湯が抽出用のお湯として出てきてしまいます。そのため抽出を始める前にこの加熱され過ぎたお湯を排出するために空流し、フラッシュが必要になります。
またスチーム用ボイラーの温度が間接的に抽出用のお湯の温度を決めます。このため低い抽出温度を使いたい場合は、ボイラーの温度を低めに設定する必要がありスチームパワーが下がってしまいます。逆にスチームパワーを上げたい時は必然的に抽出温度も上がります。
スチームと抽出温度を独立して調整可能と言う点や温度の安定性においてはデュアルボイラーに構造的なメリットがあります。
とはいえヒートエクスチェンジマシンの各メーカーも色々な工夫で温度安定性を高めているため、全てのヒートエクスチェンジマシンが全てのデュアルボイラーに劣る訳ではありません。
歴史的には、ヒートエクスチェンジ方式のマシンはデュアルボイラーより昔から存在し、今でも非常に人気の高い方式です。
まとめ
エスプレッソマシンのボイラー方式の違いについて紹介してきました。
- シングルボイラー 低コスト、抽出とスチームが同時にできない
- ヒートエクスチェンジ 中高コスト、抽出とスチーム同時に可能、温度安定性に気を配る必要あり
- デュアルボイラー 高コスト、同時可能かつ温度安定性も良い
初めてエスプレッソマシンの購入を考えている方はまずはシングルボイラーが候補になるかと思います。
ただ大家族のために毎朝忙しい時間にミルクドリンクを作りたいと言う方は高いですがヒートエクスチェンジもしくはデュアルにした方がいいかもしれません。
どうせアップグレードするなら最初からいいものと言う考え方もありだとは思います。
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