みなさん、こんにちは!
本日はワイス・ディストリビューション・テクニック通称WDTについて書いていきたいと思います。(なんの必殺技だ?!って感じですよね)
何それ?なんのために?
エスプレッソを淹れる時に、挽いたコーヒー粉をバスケットに入れて、均して、タンプしますよね。この一連の動作をPuck Prep パックプレップ(パック準備)と呼びます。
パックプレップには人それぞれ色々な方法がありますが、目的は同じでなるべく均一で再現性の高い抽出を行うことにあります。
均一な抽出のためには、バスケットに入れたコーヒー粉の全てになるべく均等にお湯が行き渡り圧力がかかることが重要です。例えば、粉がバスケットの片側に寄った状態でタンプした場合、押し固めるので見た目上はパックは平になりますが、片側だけ粉の密度が高い状態になります。そうすると当然、密度の低い場所にお湯が集中するため均一な抽出ができません。このためにタンプする前になるべく平になるように粉を均す訳です。
再現性とは、毎回同じ手順やパラメータで淹れた時に、同じエスプレッソが出来上がるかですよね。最近自分でエスプレッソを淹れ始めて強く感じることですが、同じことをやっているつもりでも毎回結構出来が違った感じになってしまうんです。
抽出スイッチを押してから何秒で何gのエスプレッソが落ちてくるかを測ることが一番違いが分かりやすいです。例えば狙ったグラム数が落ちるまでの時間を測った場合、理想では毎回同じ時間かかるはずですが、私はまだ下手くそなので10秒オーダーとかでばらついてしまいます。そうすると毎回エスプレッソの味が安定しない訳です。
均一かつ再現性の高い抽出のためにはパックプレップでコーヒー粉の状態を安定して整えてやることが非常に重要になります。このためにさまざまな方法を使ってきました。一番シンプルなのが、手(指)で均す形。他にはポルタフィルタを揺すってみるとか、バスケットに乗せてくるくる回すことで均してくれる道具などが有名ですね。こういうやつです。
で、前置きが長くなりましたが、WDTもこの粉を整える方法です。非常に効果が高いとされていて最近人気の方法になります。
やり方はシンプルで、ざっくりいうと要は何か針だったり細いものでバスケットに入れたコーヒー粉をかき混ぜるという方法になります。
グラインダーで弾いた直後の粉って、結構かたまりになっていたりしますよね。このような具合で。
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このかたまった状態の粉をいくら平にしたところでかたまり部分は密度が上がってしまうという問題点を解決するのがこの手法のポイントです。針でかき混ぜることでこのかたまりをほぐしてふわふわの状態にしてから、平に均し、タンプすることで均一性をあげようという手法です。
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針でほぐして行くとこのようにふわふわの状態に
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この均一にほぐれた状態で、ポルタフィルタの底をコンコンと叩いてあげると、綺麗に落ち着いてくれます。
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最終的にタンプしてあげれば出来上がり。
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タンプした後は、WDTをしない場合と見た目的にはほぼ変わらないと思います。これはタンパーで強制的にフラットにしているので、元々粉が固まっていたところはそれだけ余計に圧迫されていると言うことです。WDTしておくことで全体的にほぐれた状態からタンプできるので、均一なパックが出来上がるのです。
昔は爪楊枝ではじまったみたいで、はしだったりフォークだったりでも可能ですが、色々とみなさんが実験された結果、針のような直径が0.5mm以下の非常に細いものでかき混ぜるのが一番効果が高いそうです。
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フォークでもやってみたのですが、やはり太いと粉のかたまりをほぐすというよりは、動かしてしまってあまり水平に動かせませんでした。刺すみたな感じになってしまいますね。
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WDTのやり方
細い針のWDTツールがあればベストですが、爪楊枝でも試すことはできます。
ざっくり言えばかき混ぜてあげればいいだけなのですが、なるべくかき混ぜた後も粉が均一に配分されるように、おすすめの混ぜ方は図のような感じになります。
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垂直方向にいうと、最初はバスケットの深くまで針を刺し混ぜていき、徐々に針先を上げていく感じにします。
水平方向は小さな円を描きながら、くるくるとバスケット全体を混ぜてあげる感じにします。
最終的にはふわふわのかたまりのない粉の平なベッドができるようにします。
ツール自作してみた
WDTツールは下記のような感じで購入することはできます。いくつか探したのですが、異常に高かったり、針がかなり太めだったりのものが多く、私の探せた中ではこれが良さそうな雰囲気でした。
ただ、実は私コーヒー以外の趣味として昔から3Dプリンターを使ってまして、今回はこれを活用して自作してみました。
針は3Dプリンターのノズルを掃除する用のものが丁度良く、0.4mmの針が結構売っています。これ私のアイデアではなく、他の方のデザインを参考にしています。エスプレッソ愛好家の間では割と有名です。(ちなみにこの針全く同じ商品を別々のタイミングで2回購入したのですが、微妙に違うものが来ました。。。)
あとはこの針を複数取り付けるためのつまみ部分を3D CADソフトで設計し、
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印刷して、
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ちょっと穴の部分を掃除して、
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針を刺して、
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がっちゃんこしたら、
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完成です!
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結構納得の行く出来のものが完成したので満足しています。
ただ、何回か試作と失敗を繰り返し調整をしたのでなんだかんだで完成までに1日弱かかりましたし、針が10本セットで750円ぐらいなので、3Dプリンタの材料費がゼロだとしてもあまりお得とは言えません。ぶっちゃけ先ほど上に書いたAmazonの商品を購入した方がいいと思います。笑
私はこういう設計とか工作が楽しいのでそれでいいんです。まぁ唯一自作するメリットとしては、自分の思った通りのものが作れるところですね。試作して実際試してみた時に感じたのはこの針の本数であったり針の間の間隔の開き具合でコーヒー粉をうまくほぐせるかに結構影響があります。この辺りを自分の好み通りに調整できるのはいいですよね。
(もし希望あれば、CADファイルとかどこかにアップロードします)
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