Sproverって聞いたことありますでしょうか?
Espresso + PourOver(ドリップコーヒーのこと)を合わせた造語です。ちなみに発音は「スプローバー」って感じです。
海外コーヒー愛好家で話題になっている割と新しいコーヒーの淹れ方で、私も最近もっぱらこの方法でコーヒーを淹れておりますので、紹介したいと思います。
Sproverは、エスプレッソマシンにエスプレッソを淹れるよりは少し荒めに挽いたコーヒー粉をセットし、ドリップコーヒーと同じぐらいの比率のお湯を使って抽出するコーヒーの淹れ方です。 目安としては私は、9gのコーヒー粉で160gのコーヒーを約30秒程度で淹れています。エスプレッソとほとんど圧力はかけない抽出方法で、手早くフィルターなしにドリップ風のコーヒーを淹れることができます。
どうやって淹れるのか?どんなコーヒーが出来上がるのか?なぜこの方法で淹れるのか?注意点などを解説していきます。
淹れ方
まずコーヒー豆を挽いていきますが、豆の量は大体9g程、引き目はドリップコーヒーとエスプレッソの中間ぐらいにします。
具体的に言うと、私の使っているTIMEMORE SLIM PLUSでは、エスプレッソは7CLICK付近、ドリップは14CLICK付近で淹れていますが、Sproverには10CLICKあたりを使っております。もちろんここは自分の好みに合わせて調整してください。
そうしましたら、エスプレッソと同じようにバスケットに詰めていきます。
私はバスケット交換するのが面倒なのでダブルバスケットを使っていますが、粉量的にはシングルバスケットを使ってもいいかもしれません。
粉をバスケットに入れたらWDTで粉をほぐし、コンコンとバスケットを叩いて粉を落ち着かせ、タンプします。(WDTってなんだ?という方はこちらの記事で詳しく解説していますのでぜひ)
このようにエスプレッソを淹れる時より荒めのちょっと隙間が見えるパックになります。
比較にこちらがエスプレッソ用。
パックの準備ができましたら、マシンにセットしてカップとスケールを置き抽出していきます。
個人的には、160gのコーヒーが30秒程度で落ちるぐらいが好みですが、この辺りはお使いのマシンや好みによってご調整ください。
通常のドリップコーヒーは重力でお湯が落ちるのを待ちますが、Sproverでは少し圧力を使ってお湯を通していく感じになります。
見づらくて申し訳ないですが、このように結構な勢いでコーヒーが落ちてきます。
抽出中にマシンのOPVから水が出てくるようでは圧力がかかりすぎです。もう少し挽き目を荒くしましょう。(OPVについてはこちらで解説しています。)
Gaggia Classic Proの場合は、タンクに入っている2本のパイプの内みずを吸い上げていない方から水が出てくると、Sproverには圧力がかかりすぎです。(エスプレッソ淹れる時はここから水が出てきていないとダメです。写真はエスプレッソのときに水が出ている時のものです。)
出来上がりです!
どんなコーヒーになる?
Sproverはこのように薄いクレマの乗ったコーヒーが出来上がります。
クレマのありなしは好みかなと思いますが、私としてはちょっと面白味のある見た目でいいかなと思ってます。薄いクレマなのでちょっとしたら消えます。
濃度的にはドリップコーヒーと同じぐらいで、馴染みのあるいわゆるコーヒーが淹れられます。
原理的にはメタルフィルターのドリップコーヒーに近く、コーヒーのオイルが直接感じられ、ボデイ感のある滑らかなコーヒーになります。
ペーパーフィルターのドリップと比べると味のクリアさは若干劣るかなと言った感じです。
なぜSprover?
私は最近よくSproverでコーヒーを淹れていますが、個人的には4つ利点があると思っています。
1つ目は、ペーパーフィルターのドリップコーヒーに比べ楽なこと。ケトルでお湯を沸かして、ドリッパーにペーパーセットして、リンスして、お湯を注いで、待つ手順がないので私の感覚ではSproverの方が楽だと感じています。もちろんエスプレッソを淹れるように準備が必要なので、作業量的には似たり寄ったりかもしれませんが、どっちの作業が楽しめるかという観点もあるかと思います。
確実なのは、ペーパーフィルターを毎回使わなくていいので、その点でゴミが出ず、フィルターが切れるのを恐れなくていいというのもメリットだと思います。環境的にいいかと言われると、ペーパー使わない点はいいと思いますが、マシンを温める電力の方がケトルを温める電力より多い気がするので、まぁどっこいどっこいでしょう。
2つ目は、早いという点。ドリップコーヒーは重力でコーヒーが落ちるのを待つ必要があるため、ドリップ方法にもよりますが数分は確実にかかります。私の場合は浸漬式のドリッパーHARIO SWITCHを使っているので、3分抽出後、落ちるのを待つ1分ほどで、準備時間は含めず4分程はどうしてもかかります。
これに比べ、Sproverは準備が終われば、30秒で抽出が完了する!時間は短いですが、少し圧力がかかることで通常のドリップより細挽きの粉が使えるので、抽出率は同じぐらいに上げることができます。
3つ目は、アメリカーノと比べると低コストな点。同じくエスプレッソマシンでドリップ風のコーヒーを淹れる方法として、アメリカーノを作るという方法もあります。(詳しくはこちらで解説しています。)
ただ、アメリカーノをドリップコーヒーと同程度の濃度で淹れようと思うと抽出度が足りないので、より多くの豆を使用することになります。
(私のエスプレッソ抽出スキルが未熟というところもありますが)やはり使う水の量が少ないエスプレッソは豆から抽出できる成分量に限界があります。エスプレッソで直接飲む時はそれでいいのですが、アメリカーノでどうせお湯で割って飲むのであれば、その追加のお湯も抽出に使ったほうが当然良くなります。それがSproverの考え方です。
私の感覚的なところではありますが、同じ160gのコーヒーの場合、12gの豆を使っていれたアメリカーノと、9gを使ったドリップ、9gを使ったSproverが同じぐらいの濃度になります。33%多く豆を使う=価格が33%高いコーヒーになるということで、アメリカーノはこの点よろしくないですよね。Sproverはコスト面で非常に優秀です。
4つ目、シンプルにうまい。先に少し書きましたが、Sproverはメタルフィルターコーヒーに近いボディの強い感じの味わいのコーヒーを淹れることができます。
個人的にはこのスタイルのコーヒーが結構好きなので、この淹れ方を気に入っています。
うまい、早い、安い、楽、と4拍子揃って牛丼よりすごいですね! 笑
注意点
Sproverを試すときにいくつか注意点があります。
ボトムレスポルタフィルターを使う場合は結構とびちりが激しくなりますので、服とか汚さないようにご注意ください。
もう一つは、実は本来Gaggia Classic ProでSproverを淹れるのは結構無理があるのです。というのもGaggia Classic Proのボイラー容量は100ml程度なので、160mlのコーヒーを淹れるのは無理なんです。正確にいうと、途中でお湯ではなくほぼ水が出ている状態になります。
エスプレッソマシンというのはエスプレッソを淹れることを想定して設計されているので、多くても50mlぐらいのドリンクを作る想定になっており、仕方がないことなのですが。。。Sproverをしっかり淹れたいのであれば、もう少しボイラー容量の大きいマシンを選ぶといいと思います。例えばRancilio Silviaは300mlのボイラーを搭載しているので、Sproverにより適していると言えます。
とはいえ、Gaggia Classic Proで淹れたSproverに割と私は満足しているので全然いいのですが、多分本来はもっといいものが淹れられるはず。。。Gaggia Classic ProでSproverを淹れる時はなるべく予熱をしてボイラー温度が下がらないようにしたほうがいいですね。
では、ぜひSproverお試しください。アメリカーノより絶対いいと、私は思っています。
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