モカポットとエスプレッソマシンの違い 代用できる?

レポート

エスプレッソを淹れるためにはエスプレッソマシンが必要です。ただ、これが如何せん高い。。。5万円から10万円は覚悟しないといけない。

流石にそこまでは手が出ないけど、モカポット(またはマキネッタとも呼ばれる)でエスプレッソを淹れられると聞いたけどどうなんだろう?モカポットなら安いし、これからスタートしてみるはどうだろう?と考えている方は多いと思います。

またモカポットは持っていて濃いコーヒーを気に入った!エスプレッソにも挑戦してみたいけど、それだけお金をかける価値はあるのか?そんな疑問を持っている方もいらっしゃるかと思います。

モカポットとはイタリアで愛される家庭用のコーヒー抽出器具です。圧力を使い、濃いコーヒーを抽出できると言う点でエスプレッソマシンと似ていますが、モカポットではエスプレッソは淹れられません。ですが、エスプレッソっぽい濃いコーヒーを淹れることは可能です。違いはコーヒーのクレマ・質感・濃度と調整の自由度です。モカポットを使って、エスプレッソが気に入るかどうかを試すことは十分可能だと思います。趣味として考えられるならエスプレッソマシンはありだと思いますが、エスプレッソが飲みたいだけならモカポットで十分です。

少し詳しく見ていきましょう。

抽出方法の違い

モカポットもエスプレッソマシンも圧力を使って抽出を行うという共通点があるのでほぼ同じものだと思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、実は結構違った構造になっております。

モカポットのエスプレッソマシンの構造を簡単に図にしてみました。

まずモカポットは3つの部屋があります。お湯を入れる部屋、コーヒー粉を入れる部屋、出来上がったコーヒーがたまる部屋です。

一番下にお湯を入れる部屋があります。この部屋はモカポットを組み上げると密閉される作りになっております。火にかけてお湯が沸き、蒸気でこの部屋の圧力が上がります。この蒸気の圧力により沸騰したお湯が真ん中のコーヒー粉の入った部屋へ押し上げられます。

押し上げられたお湯はコーヒー粉を通っていく間にコーヒーの成分を抽出し、さらに登ったところでモカポット上部の部屋にたまります。こんな具合に。

これに対してエスプレッソマシンは、まずボイラーでお湯を温めます。

十分に温まったところで、ポンプを作動させ水をボイラーに押し込みます。ボイラーの先にはコーヒー粉をいれたバスケットがあり、ボイラーから押し出されたお湯がコーヒー粉を高圧力で通っていくことでエスプレッソを抽出します。

大きな違いは、圧力と温度の2点になります。

圧力はモカポットでは蒸気圧によって生み出され、約0.3Barでコーヒーの抽出が行われます。実はほとんど圧力はかかっていません。それこそお湯を押し上げるために必要なレベルぐらいです。それに対してエスプレッソマシンはポンプを使って圧力を生み出します。圧力はモカポットより遥かに高い9〜15Bar程でエスプレッソが抽出されます。

コーヒーの抽出に使われるお湯の温度に関しては、モカポットは蒸気を使うため必然的に沸騰した100℃お湯になります。またお湯に加えそれより高温の蒸気もコーヒー粉にあたります。エスプレッソマシンでは蒸気を使う必要がないので、温度調整が可能になります。通常は90~95℃程のお湯が使われることになります。

エスプレッソが主に高圧力を使って濃度の高い抽出を行うのに対し、モカポットは低い圧力と高温の組み合わせで濃いコーヒーを淹れます。一般的にコーヒーを高温過ぎるお湯で淹れると焼けたようなよろしくない味が出てきてしまうと言われます。

モカポットは構造上どうしてもコーヒー抽出に適した温度より高い温度での抽出になってしまう点が一つ弱点と言えます。また実は圧力がそれほど生み出せているわけではないというのも、モカポットが作る濃いコーヒーとエスプレッソマシンが作る本物のエスプレッソとの大きな違いになります。

特定機種の機能にもよりますが、エスプレッソマシンは構造的に抽出温度が好きな温度に調整できる点、かける圧力も調整ができる点など、抽出の調整自由度がモカポットに比べ遥かに高く、その結果としてより広いコーヒーの味わいを表現することが可能になります。(上手く調整できれば超美味しいエスプレッソができますが、逆に言えばまずいものも簡単に作れてしまうということにもなります。)

コーヒーの違い

理屈が長くなりました。実際にモカポットとエスプレッソマシンで淹れたコーヒーを比べてみましょう。

左がエスプレッソマシンで淹れたエスプレッソ。右がモカポットで淹れたエスプレッソっぽい濃いコーヒーです。

上から

ぱっと見でわかる違いがクレマ、エスプレッソの上に乗っている茶色い泡ですね。これはエスプレッソ抽出時にかかる高圧力でコーヒー粉に入っていた二酸化炭素がエスプレッソに溶け込むことで生まれます。いわば高圧力の証拠みたいなものです。

言葉通りただの泡なので別にクレマは美味しいものではないですが、やはり見た目的にはエスプレッソにどうしても軍配が上がりますかね。

飲み比べてみるといくつか違いを感じます。

まず思ったのは味の濃さというポイントでは、どっちも濃いという感覚です。明らかにどちらかがより濃いという印象はありませんでした。

因みに、使った豆の量と出来上がったコーヒーの量の比率はほぼ同じです。モカポットは豆9g 出来上がり24gの37.5%、エスプレッソは豆12g 出来上がり31gの38.7%でした。

舌触りはエスプレッソの方が質感があり、極端に言えばねっとりとした感覚があります。このためインパクトはやはりエスプレッソの方が上かなと思います。この感覚はどうしてもエスプレッソマシンで淹れた本物でないと味わえないものだと思います。

味はどうかというと、今回同じ豆を使っておりますがモカポットの方がまろやかに感じました。エスプレッソは結構棘のある酸味になってしまっており、今回比べたものでは味で言うとモカポットのコーヒーの方が飲みやすい美味しい味になっていました。(ここは先にも書いた通り、エスプレッソは調整の幅が広く調整もシビアなため毎回美味しいものを淹れるのはスキルが必要になってきます。)

もう一つ、ミルクを加えて比べてみました。

両方のコーヒーが同じ分量になるよう調整し、コーヒーの約2倍の量のミルクをそれぞれに入れてみました。

ミルクで割った時の見た目はこんな感じです。変わらず左がエスプレッソ、右がモカポットです。

ちょっと写真では分かりづらいですが、直接みると明らかにエスプレッソの方が色が濃いことが分かります。

飲み比べてみると差は歴然で、エスプレッソの方が明らかにコーヒーの味わいが強く残っていました。モカポットの方は結構ミルクの甘味がコーヒーに勝っている感じですが、エスプレッソの方はコーヒーの香りや苦味がしっかりと感じられます。

ミルクなしで飲んだ時はここまで濃度に差があるように感じませんでしたが、舌のセンサーが振り切っていた感じなのでしょう。ミルクで割ることで違いが感じられるレンジに戻ってきたことでこんなに差があったんだなと分かり面白かったです。

ここから言えることは、ラテのような飲み方をする場合はエスプレッソを使った方がよりコーヒーを押し出したものが作れることは間違いないでしょう。モカポットで淹れたコーヒーの量を増やすとか工夫することで十分モカポットでも美味しいラテはできると思いますが、その分どうしても水分が多くなるためラテは多少水っぽくなってしまうと思います。

モカポットは道具・エスプレッソマシンは趣味

最後に私が思うにモカポットとエスプレッソマシンの一番大きな差は、向き合い方です。モカポットはあくまでコーヒーを淹れる1道具、調理器具と言えますが、エスプレッソマシンは趣味です。

ちょっと伝わるか分かりませんが、要は魚が食べたいからといって、みんなが釣竿を買いますか?と言うような話です。

コーヒー飲むこと自体が目的であれば、正直エスプレッソマシンまで手を出すことはお勧めしません。

エスプレッソマシンは相当お金がかかりますし、美味しいエスプレッソを淹れるには微調整が必要だったり、マシンのメンテナンスも必要で手間がかかったり、時間もお金もかかります。エスプレッソを淹れる作業自体も趣味として楽しめないのであれば、確実に使わなくなります。そういう人はエスプレッソが飲みたかったらスタバに行きましょう。その方が絶対に簡単に低コストで美味しいものが飲めます。

逆にコーヒーを淹れることを楽しめるのであれば、エスプレッソは最高の趣味になると思っています。楽しみながら美味しいコーヒーも飲める。しかも上達すればするほど美味しくなっていく。最高です。ドリップコーヒーが趣味の人、エスプレッソマシンは非常におすすめです。調整できる範囲が大きく、何倍も楽しめるポテンシャルがあると思います。

エスプレッソマシンを趣味にする興味があれば、私がどのようにマシンを購入したか、心配ポイントなどをまとめたこちらの記事もどうぞ!

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