みなさん、こんにちは!
このページに辿り着かれたということは、自分でエスプレッソを淹れることに興味をお持ちかと思います。で、恐らくいきなりエスプレッソを淹れようという方はほとんどいらっしゃらないと思いますので、きっとドリップコーヒーなどの方法で普段からよくコーヒーを淹れているのではないでしょうか?更に言うと、もちろん豆にもこだわり、淹れる直前に自分で豆を挽いていますよね?
そんな方がエスプレッソを自分で淹れてみたいと思った時に真っ先に探すのはもちろんエスプレッソマシンです。(このブログでもエスプレッソマシン関連で色々書いていますのでそちらもぜひ)エスプレッソは圧力を使うことでドリップでは実現不可能な高濃度の抽出を行います。そのためこの圧力を生み出すマシンは必須です。
ただ忘れがちなのが、グラインダーもエスプレッソ用のものが必要になると言う点です。今までドリップコーヒー用に使ってきたグラインダーがあるからそれでいいのではないかと思われがちですが必ずしもそのまま使える訳ではありません。実はエスプレッソの出来にはマシンの性能より、グラインダーの性能の方が重要と一般的に言われています。
この記事では、エスプレッソ抽出のためになぜそれほどグラインダーの性能が重要になるのか、エスプレッソ用グラインダーにはどんな特徴・機能があるのかについて解説していきます。
いざエスプレッソマシンは購入したけど、十分な性能のグラインダーがなくてまともにエスプレッソを淹れられない。。。購入する予算も残ってない。。。みたいなことにならない用に事前に絶対に知っておいて欲しい内容です。
何故エスプレッソにはグラインダーが重要になるのか?
最初にここですよね。ドリップでもグラインダーの品質を上げて、粒度の均一性を良くすると、いいコーヒーが淹れられると言う話は聞いたことがあるかと思います。基本的にはエスプレッソでも同じです。
ドリップの場合はこの理由はシンプルで、粉が均一の方が全ての粉から均一にコーヒーの成分を抽出することが出来ます。特定の粉を過剰に不要な成分まで抽出してしまったり、他の粉から十分に成分を取り出すことができないといったようなことがなくなるため、より雑味の少ないクリアな味わいのコーヒーを淹れられます。
エスプレッソでもこの概念は同じです。ただ、大きく異なるポイントがエスプレッソではコーヒーの粉が圧力を生み出すマシンの一部品として機能することにあります。
圧力を上げるには当然のことですがある程度密閉された空間が必要です。大きな穴の空いたボールにいくら空気を送り込んでも、膨らまないですし、ボール内に圧力が生まれることで固く跳ねるようにはならないですよね。そんなイメージで圧力をかけるポンプ(空気入れ)と圧力をキープして高める抵抗(ボールの壁)が必要になります。
エスプレッソの抽出では、マシンに搭載されたポンプが、コーヒー粉にお湯を圧力をかけて送り込みます。このお湯に対して粉が流れに抵抗することで圧力が生まれる訳です。この意味でエスプレッソマシンではコーヒー粉が圧力をキープして高める抵抗を生む部品として使われるということです。
では、抵抗を生むために何が必要になるのかというと、コーヒー粉がなるべく隙間なく敷き詰められることですよね。そのためには粉がまず細かくあること、そして均一であることが重要になります。
エスプレッソ用に使う場合は非常に細かい粒度で豆を挽く必要があります。同じコーヒー粉と言っても、ドリップ用が粉ならば、エスプレッソ用は粉末という感じでしょうか。コーヒー粉が荒すぎる場合は、粉と粉の間の隙間が大きくなってしまうため抵抗力が低くなってしまいます。このような場合では圧力が上がらず、抽出率が下がりうっすいコーヒーが出来上がります。
粉の均一性はコーヒー粉に均一にお湯が通るようにするために重要です。もし一部荒い粉があったりすると、その周りだけ隙間が大きく抵抗が低くなります。お湯は抵抗の低い部分を流れようとするため、その場所に流れが集中してしまいます。そうなると成分の抽出度がばらつくだけでなく、お湯がコーヒー粉の層に穴を開けていってしまうことがあります。この穴のことをチャネル(Channel)と呼びます。チャネルができてしまうとそこはお湯がすっぽ抜けて行ってしまう穴になるので、勢いよくお湯がそのまま吹き出します。
このような理由からエスプレッソを抽出する際はドリップコーヒーで使うよりも一段とコーヒー粉の細かさと均一性が必要になり、グラインダーが重要になるのです。
エスプレッソ用グラインダーの特徴・機能
ではエスプレッソ用のグラインダーがよく持っている特徴と機能を解説していきます。
ブレの少ない安定した構造・高い製造精度
基本的に臼式のグラインダー(Burr Grinder)は臼の刃を2つ持っており、その臼の刃の間の隙間の開け具合で挽き目の調整を行います。(一応ブレード式のグラインダーも存在しますが、粒度均一性に非常に問題があり、ドリップでも推奨されませんし、エスプレッソでは論外です。)
特定のグラインダーがどこまで細かく挽けるかというのは、どれだけ臼の隙間を安定させられるかというところにから決まります。
挽ためには当然臼を回すのですが回転軸の水平度や軸にずれがあると、臼の刃を近づけすぎると回転のある箇所で臼同士が当たってしまい回らなくなります。(最悪臼が削れたり・壊れたりします)臼の刃の形の精度や臼を抑える筐体の精度など、色々な箇所の製造精度が上がることでエスプレッソ用の極細挽きが可能になるのです。
高精度のグラインダーを見分けやすいポイントとしては、金属の筐体を使うことで筐体の歪みがないものであったり、回転軸にベアリングを採用することで回転軸の安定性が上げられていたりといった箇所になります。
また臼自体の素材も金属製にすることで耐久性に優れ、より鋭く精度高く加工できるためエスプレッソに使えるものは金属製の臼と考えておいた方がいいでしょう。
ステップレス調整
挽き目は2つの臼の間隔の調整で行うと書きました。この時に調整方法は大まかに二種類に分けられます。調整に刻みのあるステップド調整と、刻みがなく際限なく微調整が可能なステップレス調整です。
ステップド調整は写真のようにグラインダーの臼を止めるネジに溝が掘ってあり、ダイアルをカチカチ回すと挽き目が調整できるようなシステムです。調整に明確な刻みがあり、狙った設定にしたい時などにブレがないという利点があります。グラインダーのお手入れのために臼を外しても、元の設定を覚えておけばぴったり戻すことができます。ただ調整の細かさに限度があり、例えば5クリックと6クリックの間の5.5クリックに調整することはできません。言ってみれば「整数調整」って感じですね。
これに対してステップレスは、刻みのない調整です。調整ノブをどれだけ回すかによって調整されます。刻みがないため、多くの場合でメモリがノブに書かれています。メモリはあるもののもちろんメモリの間に調整することもできるため、「小数調整」と言えます。これで大体狙ったところに合わせることはできますが、ぴったりあっているかは分かりません。写真のNiche Zeroグラインダーは非常に人気の高いエスプレッソにも使えるグライダーですが、ステップレス調整になってます。目安のためメモリはありますが、メモリの間での微調整が可能です。
エスプレッソに使う場合はステップレス調整が可能なグラインダーが好まれます。何故かというと、エスプレッソの抽出度の調整には非常に微妙な粒度の調整が必要になるためです。何gのエスプレッソを抽出するために何秒かかったかを測ってそれを元に挽き目の調整をすることが一般的です。狙いより時間がかかったら、少しだけ挽き目を粗くするといった具合です。
この時にステップド調整だと、1ステップずらしたら狙いを通り超えてしまう場合があります。ラッキーなら丁度ステップのあるところに狙いが当たる場合もありますが、これは稀です。
ステップレス調整の場合は自分の指の感覚(+グラインダー性能)次第で思い通りの調整ができるので好まれると言う訳です。
とは言え、もちろんステップド調整でも対応できないと言うことではありません。非常に細かいステップ調整が可能にしてあるマイクロステップドグラインダーもあります。この方式のデメリットは、エスプレッソとドリップの間で設定を変えようとしたりした時にめちゃくちゃカチカチする必要があることです。
ゼロリテンション(Zero Retention)
リテンションとは豆を挽いた時にグラインダーの中に残ってしまう粉の量です。
ここで注意したいのが10g豆を入れて10gの粉が出てきたからと言って、リテンションがゼロ、要は全く粉がグラインダー内に残っていないとは限らないと言うことです。どういうことか?元々グラインダー内に残っていた古い粉が出てきて、その分新しい粉がグラインダーに残ってしまっている可能性があるからです。
グラインダーを徹底的に掃除して全く粉が残っていない状態で、10gの粉を入れて、出てきた分の差し引き分がリテンションです。9g出てこれば、1gのリテンション、10g全部出てこればゼロリテンションです。まぁ本当にぴったり全部出てくることはほぼあり得ないので、0.5g以下ぐらいのリテンションのグラインダーがゼロリテンションと呼ばれます。
エスプレッソ用グラインダーはできればゼロリテンションのものがいいです。特に家庭用エスプレッソマシンと使う場合はより重要になります。
リテンションが多いと何が困るか?
まずはグラインダーの中で粉が劣化してしまうので、次使うときに劣化した粉が出てくるのが嫌ですよね。これはエスプレッソに限ったことではありません。
エスプレッソ用に使う時にで困るのが、粒度の微調整をした際に前の設定の粉が出てきてしまうことです。狙った抽出になるまで微調整を何度も繰り返すことになります。ただ調整直後に前の設定の粉が出てきてしまうということは、そのまま使うと調整したサイズでないものを使うことになりますし、均一でない粒度の粉を使うことになるので、調整が訳分からなくなります。
これを回避するためには数g豆を挽いて残っている古い設定の粉を押し出すパージをすることになります。毎回パージするのもめんどくさいですし、この粉は使えないので微調整の回数が多いと非常にもったいないですよね。
カフェのような大量に同じ豆を挽ような環境では、調整のために少し豆を捨てる羽目になってもさほど大きな問題でなかったり、頻繁に挽のでグラインダー内に残った粉の劣化がそれほど進む前に使われるため、リテンションをそれほど気にする必要はありません。
ただ家庭で一種類の豆が200gしかないみたいな時は、調整も頻繁になりますし、少しでも捨てる量を減らしたいです。このためできればリテンションの低いグラインダーを入手できるといいですね。
ハンドグラインダーは構造がシンプルなため基本的に低リテンションになります。電動グラインダーの場合は構造がより複雑でシンプルにサイズも大きくなるためリテンションが増える傾向にあります。家庭用に作られたグラインダーはリテンションを気にして作られているものも多いですが、購入前にはチェックしておきたいポイントです。
シングルドース
シングルドースグラインダーとは、一度に使い切る量の豆を毎回グラインダーにセットして、入れた豆を全て挽ききるという想定で設計されたグラインダーです。このため豆を入れておくホッパーは非常に小さく作られており、その分小型にできます。ハンドグラインダーは全てシングルドースになりますね(ずべてそうなので、あまり言わないですが。。。)。シングルドースグラインダーは近年主流になってきた形です。
今まで一般的だった、大きなホッパーを持ったグラインダーの場合、ここに豆をストックしておいて、そこから毎回必要な量を挽いていきます。挽かれる粉の量はモーターを回す時間で指定する場合が一般的です。この場合グラインダーの精度によっては同じ量が毎回出てこない場合もあるので、気にする人は挽いた後に粉を測って微調整が必要になります。
シングルドースは家庭で使うグラインダーとして利点がいくつかあります。まずはホッパーに豆を保管しないので、劣化を防げるという点。比較的小型な点。また毎回粉を挽ききるので、臼の間に豆が残っている状態が無く、モーターを止めた状態で挽き目の調整が可能な点です。
豆を挽き切らないタイプのグラインダーでは、半挽きの状態の豆が臼の間にある状態でモーターが止まります。そのため、モーターが止まった状態で引き目を細かくしようとすると、半挽きの豆を押しつぶすようなことになり、モーターに負担がかかりますし、最悪ジャムって回らなくなります。このため引き目を細かく調整する際はモーターを回している状態で調整する必要があり、無駄なコーヒー豆を使うことになってしまいます。
電動
グラインダーには手動・電動があるのはご存知かと思いますが、エスプレッソには電動がおすすめです。理由は単純で極細に挽くためには臼を回す回数が大幅に増えるため、シンプルに手動で挽くのが大変になるためです。
労力は構わないということであれば、手動でも十分な均一性・細かさを挽けるハンドグラインダーは多数存在します。基本的には、同じ金額を出した場合手動のグラインダーの方が、電動のものよりコーヒー粉の出来上がりは良くなります。電動のモーターなどの部品にコストがかかっていない分、安定した作りや臼のクオリティにコストをかけられるからですね。
色々な用語が出てきて盛りだくさんでしたね。
まとめるとエスプレッソ用のグラインダーは粉を均一かつ細かく挽ける必要がある。そのためには臼の精度であったり、筐体の安定性が非常に重要になります。またエスプレッソでは非常に繊細な粒度の調整が必要になるため、できればステップレス調整ができるグラインダーが良い。また粒度調整の回数も必然的に増えるため、調整のしやすさや調整するたびの無駄を無くすために、シングルドースでゼロリテンションな設計のグラインダーが良い。最後にここは好みですが、細かく挽くのが大変なので電動グラインダーの方が楽かな、と言った感じです。
具体的なグラインダーのモデルの紹介も今後していきたいと思います。今恐らく家庭用エスプレッソ用で一番人気のあるのが、今回の記事でも登場したNiche Zeroグラインダーです。人気過ぎてなかなか手に入りにくい状態が続いているようです。
みなさんのグラインダー選びの参考になったら幸いです!
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