皆さんよく飲まれるであろうコーヒーと、聞いたことはあるけど正直飲んだことがない方も多いと思われるエスプレッソ、これらの違いは何でしょうか?多くの方はエスプレッソは小さいカップで出てくる超濃いコーヒーのことでしょ?という認識かと思います。ざっくり言えばこれで正しいです。この程度のことは知っている、そんなことは調べないと?そうですよね。
コーヒーとエスプレッソの違いはコーヒー成分の抽出方法の違いにあります。日本で一般的なコーヒーとはフィルターコーヒー(もしくはドリップコーヒー)と呼ばれるもですが、こちらはコーヒー粉にお湯を注いで成分を抽出します。エスプレッソではコーヒー粉に高圧力をかけたお湯を通すことで抽出を行います。この圧力によって少ない量のお湯により多くのコーヒーの成分を抽出することで約10倍の濃度の濃いコーヒーがエスプレッソです。
違いはもう少し詳しく見ていきましょう!
どのくらい濃度に違いがあるの?
日本で一般的にコーヒーを頼んで出てくるものは皆さんイメージできますよね。通常160mlほどのコーヒーカップで提供される、濃度としては紅茶と近いようなコーヒーです。一番馴染みのあるのはドリップコーヒーかと思いますが、同じような濃度のコーヒーを淹れる方法はいくつもあります。フレンチプレス、サイフォン、エアロプレスなどですね(詳しくはこちらへ)。
このようなコーヒーは通常10g程のコーヒー豆を150ml程のお湯で抽出します。大体成分的には99%は水でできており、コーヒー豆から抽出した成分は約1%といった感じになります。
これに対してエスプレッソはデミタスカップやショットグラスなど小さいカップで30〜50ml程で提供されます。明確な決まりはありませんが目安としてシングルショットは7g程のコーヒー豆を15ml程のお湯で抽出します。出来上がるエスプレッソは大体90%は水、10%がコーヒーから抽出できた成分になります。
要するに、フィルターコーヒーに比べエスプレッソは5〜10倍近い濃度のコーヒーになります。
両方コーヒーではありますが、10倍もの濃度の差があれば正直別物です。砂糖水とシロップぐらいの違いのイメージですね。
含まれるカフェインの量は?
フィルターコーヒーとエスプレッソで含まれるカフェインの量が違うか?という疑問がよく出るかと思います。
10倍の濃度になるので当然同じ量のフィルターコーヒーとエスプレッソを比べた場合、10倍の量のカフェインを含むことになります。
ただし、フィルターコーヒー一杯は150ml、エスプレッソのシングルショットは14ml程と、1人前で10倍の量をフィルターコーヒーは飲むことになるので、両方一杯飲むとしたら大体同じぐらいの量のカフェインを摂取したことになります。
当然、飲む量や抽出度合いによって誤差はありますが、エスプレッソを飲んだからカフェイン取り過ぎみたいな心配はありません。(どちらにせよ飲み過ぎには注意ですが。。。)
どうやってこの濃さの違いが生まれるのか?
最初に少し書きましたが、一番の違いは圧力です。
フィルターコーヒーはコーヒーの粉にお湯を注いで、重力で落ちるような形になります。
それに対して、エスプレッソは押し固めたコーヒーの粉にお湯を圧力をかけて押し通していく形で抽出を行います。圧力をかけることのエネルギーで、僅かな量のお湯に大量のコーヒー成分を溶かし込むことができるのです。
エスプレッソの抽出中にかかる圧力はおよそ9気圧になります。圧力鍋が大体2〜2.5気圧なので、相当な圧力をかけていることが分かると思います。
圧力をかけることの効果として、エスプレッソではより細かくコーヒーの粉を挽けるというものもあります。細かく挽くことでコーヒー粉の表面積が増えるため、コーヒー粉からより多くの成分を抽出することが可能になります。フィルターコーヒーでは、粉をあまり細かく挽きすぎるとフィルターが詰まってしまいコーヒーが落ちてこなくなってしまいます。エスプレッソでは圧力をかけて無理やりお湯を押し出すことができるので、より細かい粉を使い抽出度合いを上げることができるのです。
フィルターコーヒーでは使ったコーヒー豆の10gから1.5g、15%程が出来上がったコーヒーに溶け込んでいることになります。
エスプレッソでは7gのコーヒー豆から1.5g、20%程度抽出できており、圧力と細かい粉のおかげで同じ豆の量からフィルターコーヒーより少し多く抽出ができます。
どのような味わいの違いが生まれる?
今回同じ豆を使って、フィルターコーヒーとエスプレッソを入れてみました。同じコーヒー豆を使ったとしても、フィルターコーヒーをエスプレッソでかなり違う飲み物が出来上がります。
想像通りかと思いますが、濃度の違いは相当なものです。エスプレッソは強烈なのでちびちび飲みます。ちびちび飲んでもコーヒーの味わい・香りが鮮烈に広がります。
苦味、酸味、甘味については基本は豆の持つ個性がベースにはなりますので、フィルターコーヒーと似たような系統になります。ですが、フィルターコーヒーにもましてエスプレッソは淹れ方によって大きく味わいを調整することが可能だと思います。逆にいうと失敗するとかなり酸っぱいエスプレッソや、とてつもなく苦いものが出来上がったりします。今回できたものはちょっと酸味が強めに出てしまったかなという感じでしたが、そこそこバランス良く甘味も感じられるものでした。
濃さというのはイメージ通りの大きな違いですが、質感というのか、舌触りというのもかなり違ってきます。フィルターコーヒーに比べエスプレッソはシルキーで滑らかな舌触りになります。この違いもありエスプレッソはリッチで濃厚なコーヒーを味わうことができます。
抽出されて落ちてくる見た目からもこのとろとろさ加減が伝わるのではないでしょうか。
ミルクをコーヒーに淹れる場合はやはり濃さのあるエスプレッソが圧倒的に美味しいものができます。フィルターコーヒーにミルクを入れると水っぽく、コーヒーの味わいも薄れてしまいますが、エスプレッソであればミルクのリッチさにも負けないコーヒーの味わいを持ったらラテができます。カフェで飲むラテと、家でコーヒーにミルクを入れたものの違いはここですね。
趣味としての違いは?
私は趣味としてコーヒーを淹れていますが、フィルターコーヒー・エスプレッソどちらも違った魅了があると思います。
フィルターコーヒーは必要な道具類が少なく、5000円もあれば非常に手軽に始めることが可能です。(予算別の始め方もまとめてみました)
フィルターコーヒーは非常にクリアな味わいが特徴で、コーヒーの味わいをストレートに感じやすいと思います。また抽出のテクニックも比較的短期間で習得ができ、数回練習すれば80点台のコーヒーを淹れることは容易でしょう。(フィルターコーヒーも非常に奥が深く極めるのはまた別の話です。)
コーヒー豆の違いなどを比べやすく、色々と比較する楽しみがあります。
エスプレッソはエスプレッソマシンが必要だったり、高精度なグラインダーが必要だったり、始めるのにはかなりのコストがかかります。最低でも5万円は必要でしょう。(エスプレッソマシン購入について)かなりコーヒーにまじにならないと、手を出さない趣味かなと思います。
エスプレッソでも当然コーヒー豆の味わいをフルに楽しむことができます。どちらかと言えば、(上手くなれば)エスプレッソの方がより濃密に楽しむことができるのではないかと思います。
ただしフィルターコーヒーに比べて80点のエスプレッソを淹れるのは何倍も難しいと思います。ちょっとでも失敗するとかなり味が落ちることになります。色々と微調整したり、マシンのメンテをしたり趣味としてはより歯応えのあるものにはなるかなと思います。
私もそうでしたが、まずはフィルターコーヒーから始める人は99.9%だと思います。フィルターをやってみてコーヒーにハマると、フレンチプレスや、エスプレッソに近いものが淹れられるモカポット(マキネッタ)に手を出していき、いずれエスプレッソにも手を出したくなります。色々なコーヒーの淹れ方がありますが、やはりエスプレッソだけはかなり別物です。
楽しいですよ〜。家で淹れるエスプレッソ。ラテアート。(練習日記もぜひご覧ください)
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