みなさん、こんにちは!
以前、エスプレッソを淹れるにはそれに適したグラインダーを使うことが非常に重要とこちらの記事で説明しました。
シンプルにまとめると、エスプレッソを淹れるためには下記のことが必要になります。
- 【必須】極細に挽けること
- 細かい調整ができること
- リテンションが少ないこと
- 挽く作業が楽なこと
最初の方が絶対に必要な条件、後にいくにつれてできれば欲しいという位置付けです。
最近エスプレッソマシンを購入したのですがまだグラインダーは新調しておらず、以前からフィルターコーヒー用に購入したハンドグラインダー、TIMEMORE SLIM PLUSを使っております。一応、TIMEMOREさんの商品紹介上はE&B(Espresso&Brew)臼を採用ということでエスプレッソで使うことも想定されたグラインダーではあります。
実際どうなの?というところを今日は見ていきたいと思います。
結論から言ってしまうと、まぁまだグラインダーを新調していないところからネタバレしていると思いますが、TIMEMORE SLIM PLUSを使ってエスプレッソを淹れることは可能です。ただし、このグラインダーでエスプレッソの抽出の調整はできません。
実験結果を見ながら詳しく説明します。
実験
今回は TIMEMORE SLIM PLUSのエスプレッソ用としての性能を検証するために、色々な挽き目設定でエスプレッソを淹れてみました。
最初に結果だけまとめておきます。
DOSE | CLICKS | 臼接触? | YIELD | TIME |
12g | 5 | あり(全周) | 24.5g | 2min10sec |
12g | 6 | あり(部分的) | 24.2g | 28sec |
12g | 6 | あり(部分的) | 25.1g | 33sec |
12g | 7 | あり(部分的) | 25.2g | 13sec |
12g | 8 | あり(僅かに) | 26.0g | 6sec |
今回は毎回同じ12gの豆でエスプレッソを淹れました。パックプレップもなるべく同じ手順で行っております。(WDTしてからタンプ)
変えたパラメータはグラインダーの挽き目調整だけです。これ以上締められない設定を0CLICKとして、緩めたCLICK数で表記しています。
この条件で2:1のRATIOとなる、エスプレッソの出来量(YIELD列)24gがカップに落ちるまでの抽出時間(TIME列)を計測しました。時間の計測はカップに最初の一滴が落ちたところを開始時間としています。(マシンのBrewボタンを押したタイミングではなく)
最初にあげたエスプレッソ用のグラインダーに求められる条件ごとに詳しく見ていきましょう。
極細に挽けること
まず必須条件となる、極細に挽けるかについてです。エスプレッソの抽出時にちゃんと圧力を生むためには、コーヒー粉が十分細かく挽けており、お湯の流れに抵抗できることが必要になります。細かく挽けないと粉の間に大きな隙間ができてしまいお湯が抵抗なくパックをすり抜けて行ってしまいます。
絶対の正解というわけではないですが、エスプレッソの抽出時間は約30secぐらいを狙うといいとされています。
この時間を基準に結果を見てみると、6CLICKの設定で大体狙った30sec程度の流れを実現できています。5CLICKまで行くと2min以上と相当時間がかかるようになっているので、十分細かく挽くことが可能かという点においては合格といえるでしょう。
DOSE | CLICKS | 臼接触? | YIELD | TIME |
12g | 5 | あり(全周) | 24.5g | 2min10sec |
12g | 6 | あり(部分的) | 24.2g | 28sec |
12g | 6 | あり(部分的) | 25.1g | 33sec |
12g | 7 | あり(部分的) | 25.2g | 13sec |
12g | 8 | あり(僅かに) | 26.0g | 6sec |
ただ、気になるのが「臼接触?」の列なのですが、これはこの挽き目設定で豆も入れずにハンドルを回した際に臼同士が接触しているかどうかを書いています。全てでありと書きましたが要するにこの5CLICK〜8CLICKの設定だと臼同士が接触してしまっているのです。
あり(全周)と書いたのは、一周回す間ずっとカリカリ言っている状態。あり(部分的)は特定の角度のところで接触する状態。あり(僅かに)は完全に接触していない訳ではないものの軽度な状態です。
しばらく6CLICK設定で使ってきていますが、臼を取り出してみたところ写真のように僅かに臼が欠けてしまっていることがわかります。
これは臼の製造精度もしくは取り付け精度が十分でなく、臼が近づくと僅かにずれが生じており当たってしまうところがあるんでしょうね。片側だけ欠けているので、回転軸が微妙に斜めっているとかじゃないかなと思います。
これは私の所有している個体だけの問題の可能性もありますが、グラインダーの精度限界を超えた設定で使ってしまっているとも言えます。
この意味では、TIMEMORE SLIM PLUSでエスプレッソ用の極細挽きはできるものの、無理をさせている状態と考えた方がいいと思います。
細かい調整ができること
エスプレッソ抽出の調整において挽き目は最重要のパラメータと言っても過言はないと思います。この微調整で味に大きな影響がでます。このためエスプレッソ用のグラインダーではステップレス調整が好まれます。
ただ、TIMEMORE SLIM PLUSはステップド調整です。言い換えると挽き目の調整ダイアルにメモリがあり、どれかのメモリに合わせるしかないということです。
ではこの1メモリ=1CLICKのステップは微調整ができるほどに小さいステップでしょうか?
結果を見てみると明らかですが、大体狙い値に近かった6CLICKの設定から±1CLICKするだけで大幅に抽出時間がずれてしまっています。
DOSE | CLICKS | 臼接触? | YIELD | TIME |
12g | 5 | あり(全周) | 24.5g | 2min10sec |
12g | 6 | あり(部分的) | 24.2g | 28sec |
12g | 6 | あり(部分的) | 25.1g | 33sec |
12g | 7 | あり(部分的) | 25.2g | 13sec |
12g | 8 | あり(僅かに) | 26.0g | 6sec |
1CLICK粗くして7CLICKにすると一気に抽出時間は半分以下になっています。この速度になってくるとほぼ抵抗できておらず圧力もかからずにお湯がすっぽ抜けている状態になります。7CLICKで抽出したエスプレッソは非常に酸っぱくバランスが出鱈目な味でした。8CLICKはさらに酸っぱさが強烈になり、正直飲めたものではありませんでした。
1CLICK細かくして5CLICKにすると、時間は4倍に跳ね上がります。明らかに細かく挽きすぎてお湯がほとんど抜けてこれない状態です。2minは最初の一滴がカップに落ちてから24gに達した時間ですが、実を言うとBrewスイッチを押してから1滴目が落ちるまでに30sec以上かかっています。
と言うことで、TIMEMORE SLIM PLUSでエスプレッソ用に使える挽き目設定は実質1つしかないことが分かりました。1つしか設定が使えない = 挽き目での調整を諦めるしかないと言うことになります。たまたま今回使ったコーヒー豆と豆の量では丁度良い30sec付近に当たりましたが、そうでない場合も十分ありえます。ずれてしまった場合は使う豆の量を変更したりするしかないと言うことですね。
こだわって最高のエスプレッソを淹れようと言うには心もとないグラインダーと言わざるを得ないと思います。
リテンションが少ないこと
この点においては、ハンドグラインダーなので当然シングルドースですし、リテンションもほぼないに等しいので、全く問題はありません。
挽く作業が楽なこと
細かく挽くと言うことは、作業量が当然増えると言うことになります。基本的にハンドグラインダーでエスプレッソレベルの細かい粒度で挽くことは大変な作業になりますが、この点はどうでしょうか?
他の結果から、エスプレッソとして使える唯一の設定の6CLICKで12gの豆を挽くのにかかる時間は約43secでした。フィルターコーヒー用の中細挽きの時の大体倍ぐらいの感覚です。
もちろん電動グラインダーには及びませんが、ハンドグラインダーとしてはかなり早い部類じゃないかなと思います。今回の実験で連続で5回挽きましたが特に疲れると言うこともなく、この面においては十分実用の範囲内だと思います。
結論
4つの面でTIMEMORE SLIM PLUSをエスプレッソ用のグラインダーとして使えるか?と言う疑問について検証してきました。
最初にも書きましが結論としては、十分細かく挽けるか・リテンション・作業効率の面では合格レベルで、エスプレッソを淹れることは可能です。
ただ、実質粒度での調整ができないことを考えると、いいエスプレッソを淹れることはできないと言うことになると思います。
練習がてら初めていくには十分なグラインダーですが、早いうちにエスプレッソ用のグラインダーを入手したいですねー。
今のところ候補として考えているグラインダーは、
- Niche Zero
- Eureka Mignon Single Dose
- Lagom mini
あたりですね。
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