家庭用エスプレッソマシンGaggia Classic Proを購入して3ヶ月程が経ちました。
3ヶ月間ほぼ毎日使ってきて、マシンのいいところ、気になるところが分かってきましたので、そのレビューをしていきます。
私はこのマシンが初めて使うエスプレッソマシンなので、エスプレッソ歴も3ヶ月です。このマシンを購入する人は私のようなエスプレッソ初心者が多いかと思いますので、その視点からの感想をお伝えしたいと思います。
全体的にまとめると、Gaggia Classic Proを購入して非常に良かったと思っています。コンパクトながらも、本格的な構造をしていて、業務用マシンと同様の基本的な機能がしっかり備わっています。重要なところの作りが非常に良く、使っていて気持ちがいいです。エスプレッソ抽出の性能面でも初心者にとっては申し分ありません。スチームパワーは若干弱いかなと感じていましたが、ある工夫で改善しました。他にもいくつか細かいところで気になるところはありますが、ちょっとした工夫でなんとかなります。
基本的な機能などについてはこちらのマシン紹介記事の方を、外見・輸送などについてのファーストインプレッションレビューもご興味あればぜひ。
では詳細を、良いポイントと気になるポイントに分けて説明していきます。
良いポイント
エスプレッソ基本性能
最初に書いた通り、全く問題なく本格的なエスプレッソが淹れられます。綺麗なクレマがしっかりあり、濃厚なエスプレッソができます。
このマシンを使って初めてエスプレッソを味わっているので、完璧なエスプレッソというものを理解してそれと比べられているわけではないというのはあります。ただ、実験でよくエスプレッソ「もどき」として挙げられる、モカポットのコーヒーや加圧バスケットのコーヒーと比べると歴然の差が私にも感じられます。
モカポットのコーヒーとの比較、加圧バスケットのコーヒーとの比較記事も書いておりますので詳しくはこちらで。
もちろんちゃんとしたエスプレッソを淹れるには、コーヒー豆の挽き目が重要になってきます。ですが、差し当たり1万円程度のハンドグラインダーでもエスプレッソを淹れることが可能です。私はTIMEMORE SLIM PLUSを使っております。Gaggia Classic ProとSLIM PLUSの組み合わせについて詳しくはこちら。
でも、そろそろちゃんとしたエスプレッソ用グラインダーが欲しい。。。
加熱時間
エスプレッソマシンは電源ONしてから、ボイラーが温まるまで少し時間が必要です。
Gaggia Classic Proは100ml容量の比較的小さなボイラーを搭載しています。それに加えヒーターは1400Wとハイパワーなものを使っているので、組み合わせで加熱時間はエスプレッソマシンにしてはかなり短く、5分ほどでエスプレッソ抽出温度まで上がります。
温度安定性を気にするのであれば、ボイラー周りまでしっかりあったまるよう15分〜30分ほど余熱すると良いですが、急ぎでエスプレッソを淹れたい時は非常にありがたい加熱時間です。
比較的小さいボイラーではありますが、マシンの中を見てみるとかなりしっかりとしたものが入っていることがわかります。
温度制御
温度制御とは、抽出に使われるお湯の温度が毎回狙った温度になっているか、抽出中に安定しているか、そもそもユーザーが温度を調整できるか、といったような話になります。
Gaggia Classic ProはシンプルなON/OFF温度コントロールを行なっており、温度制御は正直得意なところではありません。狙い温度もユーザーは設定できません。もっと高級なマシンであればPIDコントローラーがついていて調整可能かつより安定した温度制御をしています。
ですが、このシンプルな制御でも異常に熱くなったりぬるすぎたりすることはなく、私はまだ気になったことはありません。安いマシンだと、放置しておくと温まりすぎて蒸気がグループヘッドから噴き出たりしてコーヒーパックを破壊することがありますが、Gaggia Classic Proではそこまで温度がブレることはありませんでした。
もっとスキルが上がって、温度数度の違いが出来上がったエスプレッソ味に影響するようになってくると、PIDコントローラー付きのマシンが欲しくなってくるかと思います。ですが初心者には挽き目調整やパックプレップなどもっと大きくブレに影響しているものが多く、温度の影響を気にするところまで行かないというのが私の感想です。
またGaggia Classic Proでも温度精度を高めるために、Temperature Surfingと呼ばれるテクニックがあったり、後からマシンを改造してPID制御を追加したりすることが可能です。マシンを買い替える前にこのようなところを工夫してみるのも良さそうです。
ポンプ圧力
エスプレッソの特徴の圧力ですが、Gaggia Classic Proは15Barになるように設計されています。
15Barというのは、クラシックなイタリアンエスプレッソに使われる圧力ですが、最近はもう少し低い9Barぐらいの圧力が一般的に良いとモダンエスプレッソ的には言われています。よくレビューで文句の出るポイントです。
ただ私はまだこれしか使ったことがないので、別に不自由に感じることはありません。もちろん圧力が高すぎてうまくエスプレッソを淹れられないということもありませんでした。温度と同じように、もっとスキルが上がったら気になるかもしれないというポイントですね。
ここもマシン内のあるバネを取り替えるという簡単な改造で調整することができます。
ちなみにGaggia Classic Pro内のポンプはこんなものです。Vibrationポンプと呼ばれるものが使われています。名前の通り、稼働時に結構振動します。
外見
ここは人それぞれ好みだと思いますが、3ヶ月家に置いていて気に入ってはいます。
レトロな感じで、決しておしゃれななものかと言われるとそうでもないですが、変な感じは全くありません。
安いエスプレッソマシンにありがちなプラスチック感やちゃっちさも全くなく、いいと思います。
サイズが割とコンパクトなので、置き場所にそれほど困らないのも良いところだと思います。
作り
作りは非常にいいと思います。ほとんどの部分がしっかりと金属製で、ガッチリ・どっしりしていて、長持ちすると思います。
先に写真を貼っていますが、中を見てもしっかりとした作りをしていて、重要なところに手を抜いていないなとは思います。
これは私のところに届いた個体の問題だと思うのですが、筐体の溶接が外れている箇所がありました。ちょっとカパカパしているな程度に思っていたのですが、マシンを解体した時に初めて外れているのに気づきました。
海外輸送の荒波に揉まれて外れたんですかね。どこかで直そうと思っています。
グループヘッド
かなり重要なポイントのグループヘッドですが、ボイラーと一体となっており、フル金属製でできております。
作りも非常に良く、ポルタフィルターをロックする時は楽しいです。
細かいところですがこの辺がよく作られているのは非常に重要だと思います。毎日使うときに触る部分なのでここがちょっとでも取り付けにくかったりガタついたりするとストレスになると思いますが、Gaggia Classic Proはストレスフリーです。
操作性
ボタンなどの操作性も悪くありません。スイッチやノブはプラスチック製ですが、しっかりしていて文句はありません。
機能は非常に少ないマシンなので操作もシンプルで2・3回使えばマスターできると思います。
音
抽出を開始し、ポンプが稼働する振動によってガガガっとそれなりに大きな音がします。
使っている本人は気にならないレベルですが、寝ている人の隣では使いたくないですね。
振動による音なので、マシンを開けて蓋のところに隙間などにクッション材を挟んだりしたら結構軽減することが出来ました。(私は厚手のスポンジタイプの両面テープを使いました)
タンク容量
十分な量の水が入ります。私は毎日2杯ほどエスプレッソだったりアメリカーノだったりラテを淹れていますが、週に1〜2回ピッチャーで水を継ぎ足すぐらいで事足りています。
タンクにはマシン上の蓋を開けて直接注ぐこともできますし、前面からタンクごと引き出すことも可能です。タンク取り出すのはわりと面倒なので、私は常に上から注いています。
水がなくなった時の通知機能は特にありませんが、タンクがマシン全面に丸見えなので見逃して水がなくなったこともありません。若干光の加減で水面がどこか見づらい時はありますが。
ドリップトレー
ドリップトレーも十分な容量があり、こちらも週に1〜2回流しに捨てるぐらいで十分です。
満水を知らせるフロート(浮き)はついていませんが、満水近くなると水面に光が反射してわりと簡単に気づくことができます。見逃して溢れさせたことは今まで一度もありません。
付属ポルタフィルター
見た目はちゃっちく見えがちですが、持ってみたらかなりの重量感でちゃっちさは忘れます。
機能的には全く問題ありませんが、私はボトムレスポルタフィルターを別で購入してそちらを使っています。(このボトムレスポルタフィルタについて詳しくはこちら)
理由としては、のちに詳しく書きますがクリアランスの問題と、ボトムレスで抽出の具合を確認するためです。
付属バスケット
Gaggia Classic Proには、Single、Double、加圧Doubleの3種のバスケットがついてきます。
こちらも初心者的視点からは全く問題のない品質のもので特に困ったことは今のところありません。
これは新しいバスケットを購入して入れ替えれば良いだけなので、いずれ高品質バスケットにもトライしてみたいとは思います。
交換する自由度という意味で、Gaggia Classic Proを選んだ大きな理由である業務用マシン標準の58mmバスケットを採用しているというところが活きてきます。
私は、Singleと加圧バスケットはほぼ使っておりません。
スチームワンドの自由度
購入前は若干心配した点ではあるのですが、Gaggia Classic Proのスチームワンドは水平回転のみの調整になっています。(他の多くのマシンはボールジョイントになっていて、もっと自由度がある)
この心配は杞憂でした。他のマシンを使ったことがないというのもありますが、この水平回転で調整できる場所に合わせて練習をすることになるので、特別やりづらいと感じたことはありません。
一点ここで工夫したのは、マシンを腰の高さのテーブルではなく、胸高さぐらいのカウンターに置いたことです。こうすることで飛躍的にスチームしやすくなりましたし、正面のランプも見やすくなりました。マシン配置はそこそこ高めにするのがおすすめです。
気になるポイント
色々と良いポイントを書いてきましたが、気になるポイントがないわけではありませんので、こちらも正直に書いていきます。
スチームパワー
これが一番気になったところになります。
スチームワンドからのパワーがあまり強くなく、ミルクをスチームしていく時の渦を巻かせてロールするという工程がほぼできない、という問題にぶち当たりました。
できないといっても全く回らないわけではないのですが、水面に渦が全く見えない程度のパワーしか出ず困っておりました。
ですが、このスチームパワーはスチーム開始する前の予熱時間にだいぶ影響されることに気づきました。
それまでは、エスプレッソを抽出して、スチームスイッチを押して、ランプがついたらすぐにミルクをスチームするといった流れでラテを淹れていました。こうすると先に書いたように、パワーが弱くうまくロールができませんでした。
解決方法は、マシンの電源を入れたらまずスチームスイッチを押して、その状態で15分程度予熱をさせることです。
こうすると体感2倍ぐらいのスチームパワーが出て、ミルクをロールするのが非常に簡単になります!
これは非常に有用なコツなので、誰かもっと早く教えてほしかったですね。笑
この時の問題点は、先にミルクをスチームすることになるので、その後でエスプレッソを淹れている間にミルクフォームの分離が進んでしまうことです。
少なくとも、スチーム予熱している間に豆を挽いてポルタフィルターにセットするところまでやっておくのは重要です。今色々試していいワークフローを探しています。
クリアランス
こちらが気になったポイントNo.2です。
クリアランスとは、ポルタフィルターの下から、ドリップトレーの上面までの高さのことを言います。要するにカップとスケールを置ける高さのことです。
このGaggia Classic Pro、コンパクトなマシンでそれほど高さがないこともありクリアランスが結構低いです。
ショットグラスを置くだけなら問題ないのですが、エスプレッソにこだわるならスケールは置いて出来上がりの重さを測ることは非常に重要です。
私の持っているTIMEMORE BLACK MIRROR を置くと、付属のポルタフィルターではショットグラスも置けなくなります。
これは解決策は簡単で、ボトムレスポルタフィルターに付け替えることです。
スパウト部分がなくなることでクリアランスが増え、スケールとグラスを置くことができます。
余裕があるわけではないですが、一般的なラテボールぐらいであれば置くことができます。
この点からボトムレスポルタフィルターは必須かなと思っています。
(このボトムレスポルタフィルタについて詳しくはこちら)
どうしてもボトムレスは買いたくないんだ!という人は、付属のポルタフィルターからスパウト部分を取り外すことで少しだけクリアランス増やすことは可能です。
スチームワンド
これは正直軽いもの。
長時間予熱したりしていると、ワンドから水が垂れてくることがあります。数滴レベルなので、気にならない人は全然問題ないと思いますが、そうでない人は何かワンドの下に受け皿的なものを置いておくと良いかもしれません。
ドレインパイプ
これもどうでも良いですが、一応。
エスプレッソ抽出後に圧力を逃すためのドレインパイプがマシン全面左手にあります。ここから結構な勢いでお湯が飛び散る時がありますので、ご注意を。
特にバックフラッシュの時とかが顕著ですね。。。私は周りにペーパータオル置いて飛び散らないようにしています。
まとめ
6000文字近くの長文に最後までお付き合いいただきありがとうございます!少しでも参考になったら幸いです。
いくつか気になる点はあるものの工夫次第でなんとでもなり、全体的にGaggia Classic Proは非常に良いマシンだと思います。
初心者にとって、コストと性能のバランスがとてもよく、今後もちゃんとエスプレッソ楽しんで行きたいんだという人にとってはこれ以上のないスタートポイントじゃないかなと思っております。
Gaggia Classic Proに限ったことではないですが、エスプレッソという選択肢があるだけで趣味としてのコーヒーの幅が大きく広がります。
コーヒーが飲みたいだけで、趣味が欲しいわけではないという人にはお勧めできませんが、コーヒーを淹れるところから楽しみたいという人には非常におすすめです!この辺り詳しくはこちらの記事に書いてみましたので、もしよかったらぜひ。
コメント
最近はGaggia Classic Proの購入を検討中、ブログの記事が大変助かりました!ありがとうございます😊
コメントありがとうございます!参考になって良かったです!